奥歯のインプラントはできない・難しいって本当?ケース別に解説
2024/02/21


インプラントを検討されている方のなかで、「奥歯のインプラントはできない」と聞いたことはありませんか?

結論、奥歯のインプラントができないことはありません。ですが、難易度の高い治療でもあります。そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • 奥歯のインプラントができない・難しいとされるケース6選
  • 上顎と下顎の奥歯のインプラントができない・難しいといわれる理由

記事の後半には奥歯のインプラントをするメリット・デメリットもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

1.奥歯のインプラントができない・難しいとされるケース6選

大前提として、必ずしも奥歯のインプラントができないということはありません。ですが、以下のようなケースでは「奥歯のインプラントができない・難しい」とされる場合があります。

  • 噛み合わせの調整が難しい
  • 顎の骨が弱い・骨量が少ない
  • 歯肉が少ない
  • 開口量が小さく手術スペースを確保できない
  • 子どもや妊娠中の女性
  • 歯周病がある

一つずつ解説していきます。

1-1.噛み合わせの調整が難しい

奥歯のインプラントは、噛み合わせ調整の難易度が高いです。奥歯は前歯と比べて噛む際の力が格段に強く、噛み合わせの微調整が極めて重要になります。

特に奥歯にかかる力は約60kgから70kgに達するとされ、この圧力を正確にコントロールできない場合、顎の痛みや口が開きにくくなったり、人工歯や人工歯根が損傷したりなどのトラブルに繋がる恐れがあります。

1-2.顎の骨が弱い・骨量が少ない

顎の骨がもともと弱い・骨量が不足している場合では、インプラント治療を実施するのが難しくなります。

インプラントは顎の骨に直接固定されるため、骨が弱いと安定した固定が難しくなります。奥歯のインプラントでは、特に噛む力の安定や強い咀嚼力が求められるため、骨が不十分では治療の成功が困難になり、場合によってはインプラントが破損したり脱落したりするリスクがあります。

1-3.歯肉が少ない

インプラント治療において、安定した埋入のためには最低でも2mmの角化歯肉(硬い歯茎)が必要です。角化歯肉が不足している場合、インプラント治療後にインプラント周囲炎のリスクが高まるとされています。

特に奥歯の第二大臼歯(7番)周辺は角化歯肉が少なめで、基準を満たさない場合は歯肉移植など追加の治療が必要になることも。また開口量が小さく、歯肉移植の手術難易度が高まるという側面もあります。

1-4.開口量が小さく手術スペースを確保できない

奥歯へのインプラント治療は、開口量の制限により困難となることがあります。口を大きく開けた際、前歯領域に比べ奥歯領域の開口量は自然と狭くなります。特に最も奥に位置する第二大臼歯周辺では、限られたスペースのため、手術用器具の操作が物理的に難しくなる場合があります。サージカルガイドを使用する手術では、さらに長い器具が必要になるため、奥歯でのインプラント治療の難易度が高まります。

1-5.子どもや妊娠中の女性

子どもの場合、顎の骨が成長している間にインプラントをおこなうと、顎の動きによってインプラントの位置がずれるリスクがあります。そのため、顎の成長が完了するまではインプラント治療は推奨されません。

妊娠中の女性も、インプラント後の薬剤が胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、治療がおこなえないことが多いです。また、特定の持病がある場合も、病状によってはインプラント治療が適さない可能性があります。

1-6.歯周病がある

インプラント治療前に歯周病がある場合、インプラント治療を進めることはできません。歯周病菌がインプラント周辺の粘膜に感染し、インプラント周囲炎を引き起こす恐れがあるためです。

さらに、歯周病による歯茎の緩みは、インプラントの安定性を脅かし、手術後にインプラントが脱落するリスクを高めます。

そのため、インプラント治療を希望する場合は、まず歯周病の治療を優先しなければなりません。

2.上顎の奥歯のインプラントができない・難しいといわれる理由

上顎の奥歯でインプラント治療が難しいとされる主な理由は、上顎には空洞があり、骨質が柔らかいうえに骨の高さや幅が不足しがちであるためです。インプラントの固定を安定させるためには骨の厚みと硬さが必須ですが、上顎奥歯の骨はこれらの条件を満たしにくいため、インプラントが固定しにくく、手術が困難となる場合があります。

その結果、一部の歯科医院では上顎奥歯へのインプラント治療を行わないという選択をすることもあります。

2-1.上顎奥歯のインプラント治療法

上顎奥歯のインプラント治療を可能としている歯科医院のなかには、短いインプラントや細いインプラントを用意し、人工骨を使用したソケットリフトやサイナスリフトといった特殊な手法を駆使して、上顎奥歯へのインプラントを可能にしている場合があります。

歯科医院ごとに対応が異なるため、まずはカウンセリングで確認をしてみてください。

3.下顎の奥歯のインプラントができない・難しいといわれる理由

下顎の奥歯では、骨の中に走る太い神経や血管の存在がインプラント治療を複雑にします。

下顎奥歯のインプラント治療を安全におこなうためには、神経や血管とインプラント体で3mm以上の距離を保ち、接触するリスクを避ける必要があります。しかし、骨の量が不足している場合や神経・血管が位置する高さがインプラントの埋入を制限する場合、下顎奥歯へのインプラント治療は困難となり、一部の歯科医院では治療をおこなえないとされることがあるんです。

3-1.下顎奥歯のインプラント治療法

下顎奥歯のインプラント治療においても、ショートインプラントの使用や、インプラントを埋め込む角度を調整する方法などがあります。どの方法も技術が必要となる治療のため、対応をしてもらえるか事前に歯科医院へ確認をしておきましょう。

4.奥歯をインプラントするメリット・デメリット

ここからは、奥歯をインプラントするメリット・デメリットについて解説していきます。これからインプラントをしたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

4-1.奥歯をインプラントするメリット

奥歯のインプラントには、以下7つのメリットがあります。

  1. 周囲の歯に負担がかからない
  2. 食事を楽しめる
  3. 消化器官の負担が軽減される
  4. 噛み合わせが改善する
  5. 発音が良くなる
  6. 顎骨の吸収を防げる
  7. 審美性が高い

それぞれ解説していきます。

4-1-1.周囲の歯に負担がかからない

奥歯のインプラント治療は独立した人工歯根を使用するため、隣接する健康な歯へ負担をかけません。

ブリッジや入れ歯の場合、支えとなる隣の歯への負担が避けられませんが、インプラントは直接歯槽骨に固定されるため、周囲の歯を傷つけることなく治療できるんです。

特に噛む力が強く働く奥歯では、このメリットがより顕著にあらわれます。

4-1-2.食事を楽しめる

インプラント治療後の奥歯は、天然歯とほぼ同じ咀嚼能力を持ち、食事を存分に楽しむことが可能になります。入れ歯やブリッジと比べ、インプラントは咬合力が高く、硬い食べ物も遠慮なく噛むことができるため、食生活の質の向上が期待できます。

これにより、栄養バランスの偏りを解消し、健康維持にもつながるでしょう。

4-1-3.消化器官の負担が軽減される

奥歯がない状態が続くことで、噛む力が低下し食べ物を砕けないまま飲み込むことになり、消化器官に余計な負担をかける原因になります。

インプラント治療により奥歯の機能が回復すると、食べ物を十分に細かく噛むことができ、消化過程がスムーズになります。よってインプラント治療によって食事の消化吸収が促進され、胃や腸への負担を軽減する効果があります。

4-1-4.噛み合わせが改善する

奥歯のインプラント治療は、歯に合わない入れ歯やブリッジの使用によって生じる噛み合わせの不均衡を解消します。

歯がない状態や歯に合わない入れ歯を使用している状態が続くことで、特定の歯に過度なストレスをかけ、歯の破損といった様々な問題を引き起こすことも。インプラントであれば、精密な噛み合わせの調整がおこなわれ、バランスの取れた噛み合わせの実現が可能です。また、定期的なメンテナンスによって、長期間にわたり理想的な噛み合わせを維持できます。

4-1-5.発音が良くなる

歯がない状態は、歯がない箇所からの空気漏れにより、発音が不自然になることがあります。発音には前歯が大きく関係しますが、奥歯がない状態でも会話時の空気漏れを招き、話しにくさを感じることがあるんです。また、上顎用入れ歯を使用している場合は-発音に直接関わる口蓋部に装置を装着するため、会話に大きな影響を及ぼすことも。

インプラントであれば顎骨に直接固定されて動かないため、入れ歯によく見られるズレや発音の問題を解消します。奥歯のインプラント治療により、自然な発音を取り戻し、快適な会話が可能になります。

4-1-6.顎骨の吸収を防げる

インプラントは人工歯根が顎骨内に埋め込まれ、自然な噛み合わせによる刺激を骨に伝えることができます。これにより、顎骨の萎縮を効果的に防ぐことが可能です。

歯がない状態を放置し顎骨を使用しない状態が続くことで、顎骨が徐々に萎縮します。この現象を「佩用性萎縮」といい、長期間使われない筋肉が衰えるのと同じように、使わなくなった骨も萎縮してしまうんです。

入れ歯やブリッジでは、骨への直接的な刺激が足りず、顎骨の維持にはあまり効果的ではありません。一方インプラントであれば、顎骨に対し刺激を送り続けることが可能です。

4-1-7.審美性が高い

インプラント治療は、金具やバネを使用する入れ歯やブリッジと異なり、外見に違和感を与えることが少ないです。

インプラントであれば、人工歯根が歯肉の中に隠れる構造のため自然な見た目を実現し、笑顔に自信を持てるようになるでしょう。

4-2.奥歯をインプラントするデメリット

奥歯をインプラントするのには、デメリットもあります。今回は3つのデメリットを解説します。

4-2-1.骨造成手術が必要な場合がある

インプラント治療を成功させるためには、骨とインプラントの結合が不可欠です。これを実現するには、骨の質や量が一定の基準を満たしている必要があります。

奥歯のインプラントでは、強力な噛み合わせの力を支えるため、骨とインプラントの結合が特に重要視されます。そのため、骨量が不足している場合は、骨を増やすための骨造成や骨移植が必要になることがあります。しかし、これらの手術は技術的に難しく対応可能な医院が限られているため、治療を受けられない場合があり注意が必要です。

4-2-2.保険適用外のため高額になる

インプラント治療はほとんどの場合自費診療に該当し、高額な治療費が発生します。治療箇所が前歯か奥歯か、追加の骨や歯肉の治療が必要かによっても費用は変動しますが、1歯あたり30万円から50万円以上かかることが一般的です。

インプラント治療を受ける際は、その金額についても把握しておく必要があります。

4-2-3.治療期間が長い

インプラント治療には、人工歯根と顎骨が結合するまでに数ヶ月を要します。そのため最低でも3ヶ月は治療期間が見込まれるうえに、骨造成が必要な場合には1年程度の治療期間が必要になることもあります。

あらかじめ治療のスケジュールを確認し、ご自身の都合と照らし合わせるようにしてください。

5.奥歯のインプラントは技術の高い歯科医師に相談しよう

奥歯のインプラントは、噛み合わせの調整が難しかったり、骨量が足りなかったりする場合が多く、一部の歯科医院ではできないといわれてしまうこともあります。ですが、技術が高く設備の整っている歯科医院では、問題なく治療を進めることが可能です。

奥歯のインプラントを検討されている方は、歯科医院の情報や口コミを事前に確認し、安心して任せられるかを判断するようにしてください。いくつかの歯科関係を比較してみるのもおすすめです。

やまもと歯科・矯正歯科では、経験豊富な医師が最新設備によって、患者様一人一人の状態に合わせた適切なインプラント治療が可能です。ご相談も無料で承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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