フッ素はインプラントに悪影響を与えるという情報があり、インプラント治療後にフッ素入りの歯磨き粉を使っても良いのか不安になる方もいらっしゃるでしょう。加えて、どのような歯磨き粉であれば良いのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
この記事を読むことで、インプラントとフッ素の関係性について理解を深められます。
インプラント治療後、フッ素入りの歯磨き粉を使用することに不安がある方や歯磨き粉選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
結論からいうと、インプラント治療後にフッ素入りの歯磨き粉を使用しても問題はありません。
それでも、フッ素がインプラントを腐食する作用があるという話を聞いたことがあり、フッ素入り歯磨き粉の使用について不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
このような懸念を解消していただくために、次にフッ素がインプラントに与える影響について解説していきます。
インプラント後でも、フッ素が高濃度でなければ特に影響はありません。ではなぜ、「フッ素はインプラントを腐食する作用がある」という情報が出回っているのかというと、2016年にフッ素研究会が誤って発表した情報によって生まれた誤解が原因となっています。
フッ素研究会は当時、「900ppm以上の高濃度のフッ素は、チタンの腐食がすすむ」といった内容でフッ素がインプラントに与える影響について発表しましたが、これは誤りです。「9000ppm以上の高濃度のフッ素」が本来の正しい情報でした。
インプラントの素材はチタンが使われることが多いため、フッ素研究会による誤情報を知った方が、インプラント治療後にフッ素入りの歯磨き粉を使ってはいけないとして、誤解が広まっていったのだと考えられます。
日本では歯磨き粉に含まれるフッ素濃度について、1500ppm以下と決まりがあるため、9000ppm以上の高濃度のフッ素入り歯磨き粉を使うことはありません。
加えて2015年には、一般社団法人日本口腔衛生学会のフッ化物応用委員会が「フッ素が含まれた歯磨き粉の利用はインプラント治療患者にも推奨すべき」と公表しています。
フッ素は口内のトラブル予防にも有効なため、インプラント治療後の方でもフッ素入り歯磨き粉を利用したほうが良いでしょう。
参考:一般社団法人日本口腔衛生学会 フッ化物配合歯磨剤の利用はチタン製歯科材料使用者にも推奨すべきである
インプラント治療後にフッ素入り歯磨き粉を使用するメリットについて、以下の3点をそれぞれ解説します。
フッ素入り歯磨き粉の使用は、虫歯予防につながります。フッ素には、虫歯の原因となる菌のはらたきを抑制する効果があるためです。
具体的には、虫歯ができる流れの一つに、虫歯の原因となる菌が出す酵素によって歯を溶かす酸が生成される工程があります。フッ素はこの工程をブロックし、抗菌作用を発揮するのです。そのため、フッ素入り歯磨き粉を使用することは、虫歯予防につながります。
インプラント治療をした歯は人工歯であるため、虫歯にはなりません。ただ、インプラント治療をした歯以外の虫歯を予防することは、治療費の負担軽減につながり、インプラントを長く安全に使い続けられる口内環境を保つうえで非常に大切です。
インプラント治療後は、「インプラント周囲炎」の発症に最も気をつけなければなりませんが、フッ素入り歯磨き粉はインプラント周囲炎の予防に最適です。
インプラント周囲炎は、インプラント治療をした周りの歯茎が、歯周病のような状態になってしまう口内トラブルです。細菌の塊であるプラークがインプラント治療をした箇所に溜まることで、歯茎に出血や腫れなどの炎症を引き起こします。
インプラント周囲炎は進行すると、最悪の場合インプラントを支える組織を破壊し、インプラントが抜け落ちる事態につながるリスクがあるのです。
インプラント周囲炎を予防するためにも、プラークを取り除く・溜め込まないことが重要であり、フッ素はインプラント周囲炎の予防にも有効な働きをします。フッ素入り歯磨き粉を使用して歯磨きをすることで、フッ素がプラークに入り込み細菌の働きを抑制する効果が期待できます。
フッ素入り歯磨き粉を使用することで、歯質が強化され虫歯になりにくい歯に近づけられます。
歯の外側は、エナメル質という層に覆われています。虫歯は、エナメル質が虫歯の原因となる菌が出す酸によって溶かされ、エナメル質の奥にある象牙質も溶かされてしまうことで発生する仕組みです。
そこでフッ素入り歯磨き粉を使用すると、フッ素によってエナメル質が酸に溶けにくい性質に変えられるため、虫歯になりにくい歯になります。
インプラント治療後はインプラントのケアも大切ですが、残っている天然歯を長く使い続けられるよう、歯質の強化でフッ素を有効活用しましょう。
インプラント治療後の歯磨き粉選びのポイントについて、2つ紹介し解説します。
歯磨き粉のなかには、研磨剤が含まれているものがありますが、研磨剤は歯の着色汚れを落としやすくする成分です。歯を美しく保ちやすくするメリットがある反面、研磨剤によって歯茎を傷つけやすくなってしまうリスクがあり、インプラントも削られてしまう恐れがあります。
また、研磨剤がインプラントと歯茎の間に入ってしまった場合は炎症を起こす可能性もあるため、おすすめできません。
研磨剤が入っている歯磨き粉には、「ケイ素」や「炭酸カルシウム」などの表記があるため、購入時に確認してみるようにしましょう。
歯のほとんどがインプラントである場合や、天然歯よりインプラントの本数が多い場合は、インプラント専用の歯磨き粉が適している可能性があります。
インプラント専用の歯磨き粉で代表的な「コンクールジェットコー」と「IP」は、下記の効能があるためおすすめです。
フッ素入り歯磨き粉を使用しても、インプラントが腐食するリスクは非常に低いものの、治療をした方の口内状況によっては最適でないケースもあります。
そのため、天然歯よりもインプラントのほうが多い場合は、インプラント専用の歯磨き粉の方がメリットが多い可能性が高いです。歯磨き粉選びで迷う際は、歯科医師に相談してみましょう。
インプラント治療後でも、フッ素入り歯磨き粉の使用は問題ありません。むしろ、フッ素入り歯磨き粉を使用することで以下のようなメリットがあるため、積極的に使用しましょう。
歯磨き粉選びに不安がある方や迷いすぎて困るという方は、歯科医師に相談してみることをおすすめします。
やまもと歯科・矯正歯科では、経験豊富な医師が最新設備によって、患者様一人一人の状態に合わせた適切なインプラント治療が可能です。ご相談も無料で承っていますので、お気軽にお問い合わせください。