インプラント手術のあと、「どんなものなら食べられるの?」「硬いものはいつからOK?」「いつから普通の食事に戻していいんだろう」と気になる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、手術当日から1週間以降の食事のポイント、避けたほうがよい食べ物や飲み物、積極的に摂りたい栄養素について、わかりやすく解説します。
目次
手術直後は、顎の骨に埋入したインプラント体がまだ不安定な状態です。
この時期に無理な咀嚼や刺激の強い食事をとると、出血や炎症、縫合部のトラブルを招くおそれがあります。
食べ方や食品選びに気を配ることで、治癒を妨げず快適に過ごせます。手術後しばらくは、何よりも傷口を守ることが大切です。
術後は、傷口への負担を避けることが早期回復への近道です。
インプラント手術の直後から1週間以降までの食生活について、段階的に解説します。
手術直後は、麻酔が切れたあとに痛みや出血が起こりやすいタイミングです。特に熱い・硬い・香辛料の強い食事は、傷口への刺激となるため避けましょう。
この時期は、冷たくてやわらかい食べものが安心です。
食事の際は、手術した部分とと反対側の歯を使ってやさしく噛むように意識しましょう。
2〜3日ほど経つと腫れや出血は少しずつ落ち着いてきますが、まだ無理は禁物です。
この時期は、噛む力があまりいらない柔らかい食事を中心にとりましょう。温かいメニューは、できるだけ冷ましてから摂ってください。
おすすめの食事は以下の通りです。
この段階からはたんぱく質やビタミン類も意識して摂るようにしましょう。
特にビタミンCや亜鉛は、粘膜の修復や免疫力の維持に役立ちます。無理のない範囲で、栄養バランスを整えていくことが大切です。
ただし、インプラントを埋め入れた部位で噛むのは、まだ避けた方が安心です。
たとえば、ナッツやステーキのようにしっかり噛む必要がある食品は、再開のタイミングについて主治医に確認しましょう。
また、術後1週間までは創部の回復を助けるために、こまめに口をゆすいだり、水分補給したりすることが大切です。
以下の食品・飲み物は、回復を妨げるリスクがあるため、控えるのが無難です。
食べ物・飲み物 | 控える理由 |
---|---|
硬いもの(フランスパン・せんべいなど) | 咀嚼が傷口に直接負担となり、出血や縫合部の開裂リスクが高まる |
粘着性のあるもの(おもち・キャラメルなど) | 傷口や縫合糸にくっつきやすく、傷の回復を妨げる可能性がある |
熱すぎる・冷たすぎるもの | 血管を収縮または拡張させ、出血や痛みを引き起こしやすくなる |
アルコール・炭酸飲料・刺激物(唐辛子など) | 血流が刺激され、腫れや出血が強くなるリスクがある |
コーヒー等のカフェイン飲料 | カフェインの血管収縮・利尿作用が、傷の治りを遅らせたり出血のリスクになる |
しっかり治るまでは、これらの食品を控えておきましょう。
食事制限のある中でも、体の回復を助ける栄養素はしっかり取りたいところです。
以下は、創傷治癒に役立つ栄養素と主な食品の例です。
栄養素 | 働き | 含まれる食品例 |
---|---|---|
ビタミンB群 | 細胞の代謝と再生を促す | 豚肉、卵、納豆、レバー |
ビタミンC | 炎症を抑え、粘膜の修復を促進 | ブロッコリー、いちご、ピーマン |
ビタミンD | 骨の形成を助け、免疫機能もサポート | 鮭、卵、干ししいたけ |
たんぱく質 | 組織の修復を助ける | 鶏ささみ、豆腐、白身魚 |
亜鉛 | 粘膜や皮膚の回復に関与 | 牡蠣、納豆、牛肉、レバー |
これらを無理のない範囲で、やわらかく・食べやすく調理して取り入れるのがポイントです。バランスの良い食事を心がけましょう。
インプラント手術のあとは、傷の治りを妨げないよう、食事内容にも気を配ることが大切です。はじめは刺激の少ない食事を心がけ、様子を見ながら徐々に通常の食事に戻していきましょう。
当院では、治療後の過ごし方についても一人ひとりに合わせて丁寧にお伝えしています。気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。