インプラント治療を希望していても、様々な要因によってインプラントで治療ができないと判断されるケースがあります。
しかし、インプラントができないと言われた場合でも、いくつかの条件を達成することで治療が可能になるケースもあるのです。
そこでこの記事では、インプラントができないと言われてしまう主な原因や対処法をご紹介しています。
「インプラント治療を断られたが、インプラントで治療をしたい」
「インプラントができないと言われるケースを知りたい」
このような要望や疑問をお持ちの方は、是非参考にしてください。
目次
インプラントができないと言われる原因は、具体的には下記のようなものが挙げられます。
(この記事では、妊娠中や未成年といった時期を変更すれば、治療が可能になるケースを除いています。)
それぞれ対処法とともに解説します。
インプラント治療では、歯を失った箇所に歯根の代わりとなるインプラント体を顎骨に埋め込みます。ある程度顎骨に厚みや高さがないと、インプラント体が顎骨を突き抜けてしまったり、インプラント体が安定しないといったリスクが生じるのです。
そのため、顎骨が薄いとインプラントができないと判断されるケースがあります。
顎骨が薄い場合でも、骨を増やす「骨造成手術」や「骨移植手術」をおこなうことで、インプラント治療が可能になるケースがあります。
これらの手術を受けると、インプラントを顎骨に埋め込むために必要な骨量を確保でき、インプラント治療が可能になるためです。
ただ、この治療は難しく経験や技術のいる治療であるため、どの歯科医院でも治療が受けられる訳ではありません。
さらに、骨造成にはある程度の期間を要します。個人差はあるものの具体的には、6ヵ月〜1年程度かかる可能性があることを理解しておきましょう。
歯周病や重度の虫歯があると、インプラントの周囲にある骨や歯茎の健康が損なわれ、手術が難しくなる場合があります。
こうした状態で、インプラント治療をすると口腔内で細菌感染の可能性が上がります。細菌感染が起きると、埋め込んだインプラント体と顎骨がうまく結合せず、治療が失敗するリスクが高まるのです。
仮にうまくインプラントを埋め込めたとしても、インプラント周囲炎(インプラントの周囲で起きる歯周病のような症状)を発症するリスクがあります。インプラント周囲炎の症状が進むと、せっかく埋め込んだインプラントが最悪の場合抜け落ちてしまうことも。
そのため、歯周病や虫歯がある状態ではインプラントができないと判断されます。
歯周病や虫歯があることが原因でインプラント治療が不可能と判断された場合は、虫歯が無くなり歯周病が改善された口腔状態になれば、治療が可能となるでしょう。
虫歯は段階に合わせた治療をおこない、症状が進行し治療が難しい場合には抜歯が検討されることもあります。
歯周病治療には、歯石除去や歯周ポケットの清掃、場合によっては歯周外科手術が行われます。歯周病は進行が進むと、歯根や顎骨を溶かしてしまいます。
状態によっては、歯周病の治療後インプラントを埋め込む前に、骨造成や骨移植の治療が必要になる可能性もあるでしょう。
糖尿病や心臓病、骨粗鬆症などの持病を持っている場合、インプラント手術が難しいとされることがあります。これらの病気は、手術後の回復に悪影響を与えたり、感染リスクを高めたりするからです。
糖尿病を例に挙げて説明します。
糖尿病では血糖値のコントロールが重要なのですが、血糖値のコントロールが不十分で、高血糖の状態のままインプラント手術を受けた場合、骨を生成する役割を持つ骨芽細胞の機能が落ちます。すると、インプラント体を顎骨に埋め込んでもうまく結合しない可能性が高まるのです。
さらに、血糖値がうまくコントロールできていないと、術後の傷の治りが遅くなりやすく、細菌感染が起きるリスクも高まります。
そのため、糖尿病をはじめとする特定の持病がある場合、インプラント治療が難しいと判断されることがあるのです。
持病がある場合でも、病状を管理することでインプラント治療が可能になるケースがあります。たとえば、糖尿病であれば血糖値の管理を徹底することが重要です。
事前に担当の医師と相談し、状態が安定していることを確認することで、インプラント手術が可能と判断されるケースがあります。
喫煙は、インプラントの成功率を下げる大きな要因です。
タバコに含まれるニコチンは、血行の流れを悪くします。血行が悪いと、インプラント手術を受けた部位の傷の治りが遅くなり、インプラント体が骨に結合しにくくなるのです。
インプラント手術を受ける場合、可能な限り禁煙することが推奨されます。禁煙することで、インプラントの成功率が大幅に向上します。
インプラント手術後も口腔内の健康を維持するために、禁煙を継続するのが望ましいでしょう。
顎骨が薄いためにインプラントを断られた場合でも、特定の治療を受けることで、インプラントが可能になるケースがあります。以下では、代表的な治療法について説明します。
それぞれ解説します。
GBR(骨再生誘導法)は、顎骨が不足している部位に人工材料や患者自身の骨を移植して、骨を再生させる治療です。
骨を増やしたい部分を「メンブレン」という特殊な人工膜で覆い、骨の再生を妨げる細胞の侵入を防ぎます。人工膜の中に人工材料や患者自身の骨を入れ、骨芽細胞の増殖を促すことで骨を増やします。
骨が十分に再生されるまで数か月〜1年程度時間がかかりますが、その後インプラントが安定して埋入できるようになるのです。
サイナスリフトは、上顎の骨が薄い場合に検討されます。主に骨の薄さが3〜5㎜未満で、多くの骨を補う必要があると判断された場合におこなわれる治療です。
小鼻の脇付近にある上顎洞の粘膜を持ち上げ、その空間に骨補填材を詰めることで、インプラントを支える骨の厚みを増やします。
ソケットリフトは、サイナスリフトと同様で、インプラントを埋入する際に少しだけ上顎洞を持ち上げ骨を増やす治療です。
サイナスリフトに比べて身体の負担が少なく、比較的軽度な骨の不足に対しておこなわれます。最低でも骨の厚みが3~5㎜以上あることが前提です。
インプラント治療を断られた場合でも、他の歯科医院で再度相談することで治療が可能になる場合があります。歯科医院ごとに、医師の技術や設備によって対応できる症例が異なるためです。
そのため一度インプラントをできないと言われても、諦めずに他の歯科医院でセカンドオピニオンを求めることができます。ただし、セカンドオピニオンをする際には、歯科医院選びに注意しましょう。
歯科医師によって強みは異なるため、インプラント治療の実績が豊富で、骨造成の治療に対応している歯科医院を選ぶことをおすすめします。
歯を失った際の治療法として、当院ではインプラント治療を推奨しております。ただ、インプラントがどうしても難しい場合は、他の治療法を検討することも可能です。
以下は、インプラント以外の一般的な選択肢です。
それぞれご紹介します。
入れ歯は、失った歯を補うための古くからの方法で、取り外しが可能な義歯です。現代の技術により、自費診療による入れ歯治療では、装着感が向上し自然な見た目のものも多く提供されています。
当院では自費診療による入れ歯治療で、下記の治療に対応しています。
それぞれご紹介します。
ノンクラスプデンチャーは、金属製の留め具がない入れ歯です。
金属製の留め具の代わりに、患者自身の歯茎の色に似せた樹脂で入れ歯の土台を作成します。そのため、装着していてもパッと見で入れ歯をしていることに気づかれにくく、会話や食事の際に口を開けることに対する抵抗感を下げられます。
インプラントオーバーデンチャーは、インプラントと総入れ歯を組み合わせた治療です。残っている歯が少ない、または歯を完全に失っている方に推奨されます。
片顎に2〜6本のインプラントを埋め込み、その上にアタッチメントと呼ばれる部品を付け、さらにその上に入れ歯を取り付けます。
通常の入れ歯では、歯茎の粘膜と入れ歯が擦れ、痛みが出るケースがあり、悩まれる方も多いです。しかし、インプラントオーバーデンチャーはインプラントを顎骨に埋め込み、それが支柱となるため、歯茎の粘膜と入れ歯が擦れることがなく安定するメリットがあります。
マグネットデンチャーは、マグネットの力を利用し入れ歯を固定します。
歯根部分に金属を埋め込み、入れ歯に磁石を仕込みます。入れ歯に仕込んだ磁石と歯根部分の金属がくっつくことで入れ歯が安定し、ものをしっかり噛むことができるのです。
金属部分は歯茎の内部にあるため、審美的にも優れています。
ブリッジは、隣接する歯を支えとして、失った歯の部分を補う固定式の補綴物です。インプラントに比べて手術が不要なため、手軽におこなえる点がメリットですが、支えとなる両隣の歯を削る必要があるため、健康な歯に負担がかかります。
削られた歯は、歯の寿命も縮んでしまうため、健康な歯をなるべく多く残したい場合は、インプラント治療のほうが推奨されます。
インプラントができないと言われた場合でも、最新の技術や専門的な治療を行うことで、インプラントが可能になるケースが多くあります。諦めずに、専門医による診断を受け、最適な治療法を見つけましょう。
やまもと歯科・矯正歯科では、経験豊富な医師が最新設備によって、患者様一人一人の状態に合わせた適切なインプラント治療が可能です。インプラントに関するご相談も無料で承っていますので、インプラント治療ができないと言われた方は、お気軽にご相談ください。