近年ではインプラント治療の認知度が高まり、治療の選択肢の一つとして考える方も多くなってきました。何らかの理由で自身の歯を失った方にとっては、自分の歯と同じような使用感を得られるインプラント治療は非常に魅力があるでしょう。
しかし、治療後のメンテナンス方法について気になっている方も多いのではないでしょうか。
「普段通りの歯磨きだけで大丈夫?」「何か特別なメンテナンス方法をしなければならないの?」
インプラントは人工歯だから歯磨きしなくても虫歯にならない!と考えている方もいるかもしれません。しかし、インプラントであっても普段のメンテナンスは重要です。メンテナンスを怠るとインプラントだけでなくお口全体に影響を与えるケースもあります。
この記事ではインプラント治療後の正しい歯磨き方法についてご紹介します。正しいメンテナンス方法を知り、健康的なお口の状態を手に入れましょう。
目次
インプラント治療後の正しい歯磨きについて知る前に、インプラント治療後の歯磨きが重要な理由について知っておくべきでしょう。
インプラントは人工歯のため虫歯にはなりません。しかし、歯磨きを怠るとインプラント周囲炎に発展するリスクがあります。インプラント周囲炎とは歯周病と似ている症状を発症し、最悪の場合歯が抜けてしまう病気です。インプラント体の周りに細菌が繁殖するのがこの病気の原因で、歯石や歯垢の除去である程度防げます。
インプラント体の周りで細菌が繁殖し始めるとインプラント粘膜炎を引き起こします。このインプラント粘膜炎が悪化するとインプラント周囲炎に発展するため、日頃の歯磨きでしこうがたまらないようにする必要があるでしょう。インプラント治療を受けた方のうち約33%がインプラント粘膜炎、約4%の方がインプラント周囲炎を発症しているというデータもあります。
こういった身近に潜んでいる病気を防ぐためにもインプラント治療後の歯磨きが重要だと言えるでしょう。
インプラント治療をおこなったあとの歯磨きでは、以下のポイントを意識してください。
基本的には普段の歯磨きと同じですが、ちょっとしたポイントを抑えると磨き残しがなくなり、トラブルを予防できます。
通常、お口の中では自浄作用が働くようになっています。自浄作用とは咀嚼や唾液の分泌で自然にお口の中が綺麗になっていく作用です。しかし、インプラントにはこの自浄作用が働きません。そのため、念入りな歯磨きが必要になります。
とくに、歯と歯の間の汚れや歯と歯茎の隙間の汚れはきちんと落とす必要があります。細かな部分の汚れを落とすためにも使用する歯ブラシは毛先の細い歯ブラシを選ぶようにしましょう。毛先が欲しいため、インプラントと歯茎の間にも入り込み、汚れをかき出してくれます。
毎日毛先の細い歯ブラシで歯磨きをすると歯垢が溜まりにくくなり、インプラント周囲炎の予防にも繋がります。
歯磨きの際に歯磨き粉を使用する方も多くいるでしょう。インプラント治療後であればフッ素入りの歯磨き粉を選択すべきです。
フッ素は歯の表面を守ってくれる作用があるため虫歯予防に効果的です。インプラントと隣り合わせている自然歯を健康的に守るため、フッ素入りの歯磨き粉をおすすめします。
「フッ素がインプラントに影響を与えるのでは?」と心配になる方もいるでしょう。結論から述べるとドラッグストアなどで販売されている歯磨き粉のフッ素はインプラントに影響を与えるほど大量に入っていません。安心して利用できます。
また、研磨剤が入っている歯磨き粉はできるだけ避けるようにしましょう。研磨剤が入っている歯磨き粉は汚れを落としやすく人気の商品です。しかし、インプラント治療後に研磨剤入りの歯磨き粉を利用すると、研磨剤がインプラントと歯茎の間に入り込み、炎症を引き起こす可能性があります。他にも、インプラントそのものを傷つけてしまう可能性もあるためできるだけ避けるようにしましょう。
関連記事:インプラントにフッ素入り歯磨き粉はOK?フッ素がインプラントに与える影響
お口のメンテナンスでは歯ブラシだけでなく、他の清掃器具も使用すると効果が大きいです。
デンタルフロスは糸で歯と歯の間の汚れをかき出したり、歯茎と歯の間に入り込んで汚れを落とす清掃器具です。歯ブラシでは入り込めない隙間をきれいにするにはピッタリです。
歯間ブラシは歯と歯の間の汚れをかき出す器具です。比較的大きな隙間を掃除するのにピッタリで、歯ブラシのように歯と歯の間をブラシで磨けます。
タフトブラシとは小型の歯ブラシで、毛束が小さな一つのまとまりになっています。そのため、磨き残ししやすい部分を磨けます。
このようにお口のメンテナンスに利用できる清掃器具はさまざまな種類があります。どれを使用すべきかわからない方は歯科医院に相談してみると良いでしょう。
ここまでは歯磨きに使用する歯ブラシや歯磨き粉、清掃器具についてご紹介してきました。ここからは歯磨きの方法についてポイントを解説します。
歯磨きする際はゴシゴシと擦るようにしてはいけません。ゴシゴシ擦るように磨いてしまうとインプラントや歯茎に傷がついてしまうだけでなく、汚れも落ちません。軽い力で細かく歯ブラシを動かすようにしましょう。
また、歯茎とインプラントの境目は丁寧に磨くようにしましょう。歯茎とインプラントの隙間には汚れが溜まりやすく、歯垢や歯石も発生しやすいです。汚れを放置するとインプラント周囲炎になる可能性がありますので注意しましょう。目に見えている部分だけ磨くのではなく、隙間の汚れにフォーカスすべきです。
歯磨きは毎日する行動ですが、正しい磨き方について知っている方は多くありません。普段はなんとなく磨いている方が多いのではないでしょうか?
お口の中は一人一人違います。汚れの溜まりやすい部分や、磨きにくい部分もあるでしょう。そこをきちんと把握し、丁寧に磨く必要があります。しかし、自己流で歯磨きをしても正しく磨けているとは言い切れません。歯ブラシの当て方や力の入れ方、磨きにくい部分の磨き方については歯科医院で指導してもらえます。
歯磨きは毎日自分で行うメンテナンスです。頻繁に歯科医院へ通ってメンテナンスしてもらえるわけではありませんので、自分でどれだけ汚れを落とせるかが重要です。心配な方は一度歯科医院へ相談してみましょう。
インプラント治療後すぐの歯磨きでは、以下の3点に注意してください。
それぞれ解説します。
インプラントの手術が終わったその日は、インプラント部分の歯磨きをしないようにしまよう。インプラント部分以外であれば歯磨きしても構いません。しかし、インプラント部分はデリケートな状態になっています。歯ブラシでゴシゴシ磨いてしまうと炎症が起きてしまう可能性があります。また、出血してしまう恐れもありますのでインプラント部分には触れないようにしましょう。
歯磨きだけでなく、うがいも慎重にしなければなりません。激しいうがいも傷口に影響を与える可能性があります。インプラント部分以外の歯磨きを実施した場合には、うがいも優しくおこなうようにしましょう。
手術日に歯磨きをしなかったからといって、すぐにインプラント周囲炎になってしまうわけではありません。手術部分が落ち着くまでは歯磨きは控えるようにしましょう。
インプラント治療が終わってからの歯磨き開始目安は翌日です。ただし、まだ傷口が安定していませんので、歯磨きする際には力加減に注意しましょう。手術の次の日から歯磨きを開始するのは不安だと感じる方もいるでしょう。人それぞれ口腔内の状態は異なりますし、出血量など変わってきますので心配な方は歯科医師に歯磨きの開始時期について相談しましょう。
また、抜歯をするまでは手術した部分に刺激を与えないようにしましょう。毛先が柔らかい歯ブラシを使用し、優しく磨くようにすべきです。先ほども述べたようにうがいも優しくしましょう。
研磨剤入りの歯磨き粉は細かな粒子状の歯磨き粉で、粒子が歯に付着した汚れを落としてくれます。頑固な汚れであっても粒子が取り除いてくれるため日頃から研磨剤入りの歯磨き粉を使用している方もいるでしょう。
しかし、インプラント治療後は研磨剤入りの歯磨き粉はできるだけ避けるべきです。粒子が歯茎とインプラントの間に入り込んでしまい、炎症が起きるリスクがあります。何度ももうしているようにインプラント付近の歯茎はデリケートな状況になっています。洗浄力が高い研磨剤入りの歯磨き粉では傷をつけてしまいます。
そのため歯磨き粉を選ぶ際には、研磨剤が入っていないものを選ぶようにしましょう。
インプラント治療後の正しい歯磨きの方法について解説しました。インプラントは自然歯とは異なり、虫歯にはなりません。しかし、歯磨きを怠っているとインプラント修正依頼などの炎症が発症する可能性があります。インプラント治療後であっても自分でおこなう歯磨きは重要です。
歯磨きに使用する歯ブラシや歯磨き粉、清掃器具などさまざまありますので最適なものを選びましょう。わからない場合は歯科医師に相談すると丁寧に回答してくれます。
また、磨き方や注意点についても不明な点があれば歯科医師に相談すべきです。口腔内はそれぞれ異なりますので自分に合った磨き方や注意点を指導してくれます。正しい磨き方を実施し、インプラントを長持ちさせましょう。
やまもと歯科・矯正歯科では、経験豊富な医師が最新設備によって、患者様一人一人の状態に合わせた適切なインプラント治療が可能です。インプラントに関するご相談も無料で承っていますので、お気軽にお問い合わせください。