「高齢者でもインプラント治療はできる?」「インプラント治療のメリットはある?」「健康的な生活を送りたい」と思っていませんか?
上記の疑問をお持ちの方は、治療による身体への過度な負担を避けたいとお悩みなのではないでしょうか。とくに高齢者は、歯の状態によって、食事を楽しむことや会話する際の自信を失いやすい年代です。
しかし、65歳以上の高齢者でも、インプラント治療は可能です。
本記事では、「高齢者のインプラント治療に関する注意点8つと歯科医院の選び方3つ」をご紹介します。
また、高齢者がインプラント治療を受けられないケースも紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
目次
65歳以上の高齢者でも、インプラント治療は可能です。基本的に、虫歯と歯周病がなく、骨や身体の健康状態が良好であれば高齢者でもインプラント治療を受けられます。
厚生労働省が公表している平成28年度の歯科疾患実態調査によると、40代以上の人がインプラント治療を受けています。年代別のインプラント装着率の割合は、以下のとおりです。
年代 | インプラント装着率の割合 |
---|---|
80~84歳 | 2.7% |
75〜80歳 | 3.4% |
70~74歳 | 3.7% |
65~69歳 | 4.6% |
60~64歳 | 2.3% |
55~59歳 | 2.8% |
50~54歳 | 1.4% |
45~49歳 | 1.5% |
40~44歳 | 2.0% |
インプラントをしている高齢者の割合は、年々増加傾向にあります。
高齢者がインプラント治療を受ける際の条件や注意点は、以下のとおりです。
それぞれ解説します。
持病の有無は、インプラント治療の可否を左右します。とくに糖尿病や高血圧、心筋梗塞や脳梗塞など、循環器系疾患がある場合は注意が必要です。
疾患は、手術時の合併症リスクを高めるだけでなく、治癒過程にも影響を与える場合があります。ただし、持病が適切に管理されていれば、歯科麻酔医の協力のもとで治療を受けられるケースもあります。
服用中の薬がある場合は、インプラント治療の可否に影響します。抗凝固剤を服用している方は、出血のリスクが高まるため、手術方法の工夫が必要です。
また、骨粗鬆症治療薬のビスホスホネート製剤を服用している場合は、一時的に服用を中止するなどの対応が求められます。薬の種類や服用量によっては治療が難しくなるため、事前に詳しく医師へ相談をしましょう。
骨の健康状態は、インプラント治療の成功率に直結します。高齢者は骨密度が低下している場合も多く、インプラント体と骨の結合が不十分になるリスクがあります。
また、顎の骨の厚みや密度が不足していると、インプラントの安定性も得られにくいです。そのため、治療前にCTスキャンなどで骨の状態を詳しく確認し、必要に応じて骨造成などの処置が求められます。
口腔内の健康状態が良いかによって、インプラント治療の成否を左右します。たとえば、歯周病や虫歯は、インプラント周囲炎のリスクを高める原因です。
口腔内の衛生状態が悪いと、インプラント埋入後の感染リスクも上昇します。そのため、治療前に徹底的な口腔ケアをおこない、健康な口腔環境を整えることが不可欠です。
また、治療後も定期的なメンテナンスを受けて口腔衛生の維持ができると、インプラントの長期的な成功につながります。
インプラント治療は外科手術をともなうため、一定の体力と精神的な安定が求められます。手術時間が長くなる場合や複数回の通院が必要なケースもあるため、耐えられる体力が必要です。
また、痛みに対する精神的な準備も必要です。とくに高齢者の場合、持病の有無や全身状態を考慮し、歯科医師と相談して適切な治療計画を立てましょう。
インプラント治療後は、定期的なメンテナンスや口腔ケアが欠かせません。高齢者の場合、自身でケアを継続する能力や、介護者の協力が得られるかどうかも重要なポイントです。
適切なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲炎などのトラブルが発生するリスクも高まります。そのため、治療前にケア環境を整えることが必要です。
インプラント治療では、治療を受ける目的の明確化が大切です。たとえば、「食事を楽しみたい」「見た目を改善したい」など具体的な目標を持つことで、治療へのモチベーションが維持されます。
また、目的が明確であれば、歯科医師も患者に合った最適な治療計画を提案しやすくなります。
喫煙は、インプラント治療に悪影響をおよぼします。タバコに含まれるニコチンは血流を妨げ、骨との結合を阻害するため、手術成功率が低下しやすいです。
また、喫煙者は非喫煙者よりも、インプラント周囲炎のリスクが高まります。そのため、少なくても手術前後の禁煙期間「手術前1カ月」から「手術後3〜6カ月」を守ることが求められます。
関連記事:インプラント治療における喫煙のリスク|禁煙期間や電子タバコについても解説
高齢者がインプラント治療を受けられないケースは、以下の5つです。
ひとつずつ解説します。
関連記事:インプラントができないと言われた場合の原因や治療を可能にする方法
インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込みます。高齢者の場合、骨密度の低下や骨量の減少により、十分な骨の量や質が確保できない場合もあります。
もし骨の量や質が不足していると、インプラントを安定させ、固定することが難しいです。加えて、骨の状態が悪い場合、骨造成などの追加処置が必要になるケースもあります。一方、骨の十分な改善が見込めない場合は、治療を見送る場合があります。
重度の全身疾患がある場合、インプラント治療は禁忌となることがあります。とくに、血糖コントロールが不安定な重度の糖尿病患者や、重度の心臓病、血管疾患のある方は注意が必要です。
疾患は手術のリスクを高め、治癒を遅らせる可能性があります。また、がんの放射線治療中や治療後の方、血友病などの血液系疾患がある方もインプラント治療を受けられないケースがあります。
口腔内の衛生状態が悪い場合、インプラント治療のリスクは高くなります。歯周病の進行状況や、日常的な歯磨きが不十分な場合、インプラント周囲炎のリスクも高いです。
インプラント周囲炎は、インプラントを支える骨を溶かす恐れがあります。そのため、口腔内の衛生状態を改善できない場合は、インプラント治療を見送る場合があります。
インプラント治療は外科手術をともなうため、一定の体力が必要です。高齢者の中には、長時間の手術に耐えられない方や、術後の回復に時間がかかる方もいます。
手術のリスクが高いと判断された場合、インプラント治療を避けるケースがあります。
また、骨粗鬆症の治療でビスホスホネート製剤を使用している方も注意が必要です。手術後の骨の治癒に問題が生じる場合もあるため、治療を受けられないケースがあります。
インプラント治療には、患者の協力と理解が不可欠です。たとえば、認知症で治療の内容や必要性を理解できない場合や、極度の不安や恐怖心がある場合は、治療を安全に進められません。
また、治療後のケアやメンテナンスを継続できる見込みがない場合も、インプラント治療を避けるケースがあります。精神的な安定と治療への理解が得られない場合は、別の治療法の検討が望ましいです。
高齢者のインプラント治療における歯科医院の選び方3選を紹介します。
それぞれ解説します。
インプラント治療を高齢者が受ける際は、治療経験の豊富な歯科医師がいる歯科医院を選びましょう。たとえば、高齢者特有の健康リスクや、骨の状態に対応できる歯科医師を選ぶことが重要です。
インプラント治療の症例数が多く、高齢者向けの治療経験が豊富な医師であれば、適切な診断と治療計画を提供してもらえます。あらかじめ、医院のホームページや口コミで実績を確認すると安心です。
高齢者のインプラント治療は、充実した医療設備と術後のサポート体制があるかも重要です。最新のCTスキャンや衛生管理が整った設備を備えている歯科医院は、精密な診断と安全な手術を可能にします。
また、術後のケアや定期検診など、長期的にサポートしてくれる体制が整っているかもポイントです。高齢者の場合、術後のメンテナンスが成功率に直結するため、アフターケアが充実している医院選びが大切です。
インプラント治療において、歯科医師が高齢者の健康管理に配慮した治療プランを立ててくれるかをよく確認しましょう。高齢者の場合、全身疾患や薬の服用状況を考慮した治療計画が必要です。
糖尿病や骨粗鬆症などの持病がある場合でも、それらを管理しながら治療を進める配慮が求められます。カウンセリングで患者一人ひとりに合った計画を提案し、不安や疑問に丁寧に答えてくれる歯科医院は信頼できます。
高齢者のインプラントのメリットは、以下のとおりです。
それぞれ紹介します。
インプラントは、天然歯に近い噛み心地と機能が提供されるため、食事の楽しみが広がります。噛む力は、自分の歯の70〜85%程度まで回復するため、入れ歯やブリッジと比べて格段に食べやすいです。
また、硬い食材も問題なく噛めるようになり、栄養バランスの取れた食事を楽しめるため、高齢者の健康維持にもつながります。
また、食事を楽しむことで生活の質が向上し、幸福感も高まります。
インプラントにすると、笑顔や会話の際に自信を持てます。見た目が自然なため、入れ歯のような違和感がありません。
また、しっかりと固定されており、話す際のズレや違和感もなく、明瞭な発音が可能です。社交的な活動への参加が増え、コミュニケーションの質が向上するため、高齢者の社会的な交流も活発になります。
インプラントによる咀嚼機能の回復は、全身の健康維持に大きく貢献します。しっかりと噛めることで、消化器系の負担が軽減され、栄養吸収が促進されます。
また、咀嚼時の刺激が脳を活性化させ、認知症のリスク軽減にもつながりやすいです。さらに、口腔機能の改善により、誤嚥性肺炎のリスクも低下します。
インプラントを通じて口腔ケアへの意識が高まることで、全体的な健康状態の向上が期待できます。
65歳以上の高齢者でも、虫歯と歯周病がなく、骨や身体の健康状態が良好であれば高齢者でもインプラント治療を受けられます。
ただし、最適な治療計画は人それぞれ異なるため、高齢者のインプラント治療の経験が豊富な専門医と十分に相談して決めましょう。
やまもと歯科・矯正歯科では、専門知識の豊富な歯科医師が最新設備によって、患者様の状態に合わせた適切なインプラント・矯正治療が可能です。インプラントや矯正治療に関する無料相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。