インプラントのリスクとは?リスクを抑える歯科医院の選び方も解説
2025/02/26


「インプラント治療のリスクはある?」「治療で失敗するのが不安」「そもそもインプラント治療が受けられるのか知りたい」と思っていませんか?

インプラント治療におけるリスクは大きく分けて4つありますが、あらかじめ理解しておくことで、自身に最適な治療方法なのかどうかを判断できます。

本記事では、インプラントの4つのリスクについて紹介します。また、リスクを抑える歯科医院の選び方まで紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

1.インプラントのリスクとは

インプラント治療は、歯を失った際、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込む治療方法です。今回は、インプラントのリスクを大きく4つに分けて解説していきます。

  • 健康状態に関連するリスク
  • 治療する部位に関連するリスク
  • 人為的ミスによるリスク
  • 経済的なリスク

インプラントによって既存の天然の歯に近い咀嚼能力を回復できますが、一方でデメリットもあるため、治療を始める前に確認しておきましょう。

1-1.インプラント治療の健康状態に関連するリスク

インプラント治療の健康状態に関連するリスクは、以下のとおりです。

  • 喫煙による血流の悪化
  • 糖尿病による感染や治癒の遅れ
  • 高血圧症による手術中の出血や合併症の発症
  • 骨粗しょう症による骨の強度が低下
  • 貧血による骨結合や治癒の妨害
  • 金属アレルギーにともなう発疹や腫れの発症

それぞれ解説します。

1-1-1.喫煙による血流の悪化

インプラント治療をおこなう際は、喫煙による血流の悪化を防ぐため、禁煙が推奨されます。タバコの煙により血流が悪化すると、骨の治癒を妨げる可能性が高まるためです。

喫煙はインプラントの骨結合を難しくする要因となるため、喫煙している方は歯科医師と相談しながらスケジュールを立てましょう。

関連記事:インプラント治療における喫煙のリスク|禁煙期間や電子タバコについても解説

1-1-2.糖尿病による感染や治癒の遅れ

インプラント治療時に血糖値が不安定の場合、感染や治癒の遅れを引き起こすケースもあります。

一般的には、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の値が基準以下である「5.5%未満」であることが望ましいです。HbA1c値とは、赤血球中のヘモグロビンという色素のうち、どれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値です。

もしHbA1c値が「6.5%以上」の場合は、糖尿病が疑われます。そのため、インプラント治療時は事前に検査を受け、検査結果をもとに歯科医師の指示にしたがって治療方針を決めましょう。

1-1-3.高血圧症による手術中の出血や合併症の発症

高血圧症は、インプラント治療のリスクを高めるため注意が必要です。たとえば、手術中のストレスで血圧が上昇すると、出血や合併症のリスクが増加します。

また、高血圧症の合併症である心臓疾患や脳血管障害のリスクも高いです。そのため、インプラント治療中は血圧をモニタリングし、急激な上昇に対する注意が必要となります。

1-1-4.骨粗しょう症による骨の強度が低下

骨粗しょう症の場合、骨の強度が低下するため、インプラントがしっかりと固定されずに脱落する危険性があります。インプラント治療では、チタンのスクリューを骨に埋め込むため、骨の強度が重要です。

加えて、骨粗しょう症の治療薬によって顎骨壊死のリスクもあるため、医師との連携が不可欠です。

1-1-5.貧血による骨結合や治癒の妨害

貧血があると、骨結合や治癒が妨げられるため、インプラント治療が難しくなるケースがあります。貧血は、血液中の赤血球や血色素(ヘモグロビン)が減少する状態です。

骨や軟組織への酸素供給が不足することで、インプラントとオッセオインテグレーション(骨結合)や傷の治癒が遅れるケースがあります。

また、貧血は免疫機能を低下させ、感染リスクも高めます。インプラント治療前に貧血の改善をおこない、十分な栄養摂取と休養をとりましょう。

1-1-6.金属アレルギーにともなう発疹や腫れの発症

金属アレルギーは、金属が汗などで溶け出してイオン化することでアレルゲンとなり、発疹や腫れを発症します。

しかし、インプラント体は基本的に「チタン」と呼ばれる金属でできており、チタンはイオン溶出しにくいため、アレルギー反応がほとんど起こりません。

一方で、チタンアレルギーも存在するため、事前にパッチテストを受けるのがおすすめです。

関連記事:金属アレルギーがあってもインプラントは可能!その理由や注意点を解説

1-2.インプラント治療をする部位に関連するリスク

インプラント治療をする部位に関連するリスクは以下のとおりです。

  • 歯周病や虫歯による感染
  • パラファンクションによる骨結合の妨害
  • 骨量や骨質の不足による固定の失敗
  • 見た目の問題

ひとつずつ紹介します。

1-2-1.歯周病や虫歯による感染

インプラント治療部位の歯周病や虫歯は、感染のリスクを高めるため注意が必要です。歯周病菌や虫歯菌がインプラント周囲に侵入すると、炎症を引き起こし、インプラントの安定性を脅かします。

加えて、歯周病は「インプラント周囲炎」と呼ばれる合併症を引き起こすケースもあり、最悪の場合、インプラントの脱落につながります。そのため、治療前に歯周病治療と虫歯治療をおこない、口腔内を健康な状態にしておくのが重要です。

1-2-2.パラファンクションによる骨結合の妨害

パラファンクション(異常習癖)は、インプラントの骨結合を妨げるリスクがあります。とくに、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣はインプラントに過度な負荷をかけ、骨との結合プロセスを阻害するため注意が必要です。

結果的に、オッセオインテグレーション(骨結合)が十分におこなわれず、インプラントの安定性が損なわれるケースもあります。治療前にマウスピースなどで対策し、習慣を改善することが大切です。

1-2-3.骨量や骨質の不足による固定の失敗

骨量や骨質の不足は、インプラントの固定失敗リスクを高めます。顎の骨が薄かったり、密度が低かったりすると、インプラントを安定して固定するのが困難となります。

とくに上顎は骨が薄いため、注意が必要です。骨量不足の場合、骨移植やソケットリフトなどの追加処置が必要になるケースがあります。

また、骨粗しょう症などの全身疾患も骨質に影響を与えるため、治療前に詳細な検査と評価をおこなうことが重要です。

1-2-4.見た目の問題

とくに、前歯のインプラントは、見た目の問題が起こりやすいです。インプラント埋入後も少しずつ骨量が減り、歯肉も退縮するため、インプラントの歯が長く見える場合があります。

また、インプラントと天然歯の色合いや形状の違いが目立つケースもあります。そのため、歯肉の移植や特殊な材料の使用など、追加の処置をおこないリスクの軽減が必要です。

1-3.インプラント治療の人為的ミスによるリスク

インプラント治療の人為的ミスによるリスクは、以下のとおりです。

  • 治療計画の不備
  • 医療技術の不足
  • 手術中のアクシデント

それぞれ解説します。

1-3-1.治療計画の不備

インプラント治療の成功には、適切な治療計画が不可欠です。CTスキャンをもとにした治療計画がない場合、適切なインプラントの位置の決定が難しくなります。

とくに、顎の骨の状態や神経、血管の位置を正確に把握せずに手術をおこなうと、予期せぬ合併症が起こるケースがあります。たとえば、上顎洞を損傷したり、神経を傷つけたりする可能性もあるため注意が必要です。

1-3-2.医療技術の不足

インプラント治療において、医療技術の不足は治療ミスのリスクを高めます。もし医療技術が不足していると、インプラントの位置がずれたり、周囲の組織を傷つけたりするケースもあります。

また、前歯部のインプラントでは、審美性を考慮した高度な技術が必要です。医療技術の不足は患者の健康と満足度に直接影響するため、十分な経験と技術を持つ歯科医師の選択が不可欠です。

1-3-3.手術中のアクシデント

もし手術中に以下のような予期せぬ問題が発生した場合、適切に対処できないと治療に失敗するケースもあります。

  • インプラントの脱落
  • 神経や血管の損傷
  • 感染症の発生
  • 骨造成の失敗

アクシデントを防ぐには、歯科医師の十分な知識と経験、適切な治療が可能な設備が不可欠です。そのため、万が一のアクシデントに備えて、対応策も事前に準備しておく必要があります。

1-4.インプラント治療の経済的なリスク

インプラント治療の経済的なリスクは、以下のとおりです。

  • 保険適用外(自由診療)のため高額になる
  • メンテナンス費用や追加費用の発生

ひとつずつ紹介します。

1-4-1.保険適用外(自由診療)のため高額になる

インプラント治療は、保険適用外の自由診療です。そのため、治療費用は全額自己負担となります。

インプラントの1本あたりの費用は「30万〜50万円」程度です。複数本治療する場合はさらに高額になります。

1-4-2.メンテナンス費用や追加費用が発生することがある

インプラント治療では、初期費用に加えてメンテナンス費用や追加費用が発生するリスクもあります。治療後も定期的なメンテナンスが必要なため、費用は長期的な負担となります。

また、骨造成などの追加治療が必要になると総額がさらに膨らむため、治療を決断する前に十分な検討が大切です。

2.インプラント治療のリスクを抑えるための適切な歯科医院の選び方

インプラント治療のリスクを抑えるための適切な歯科医院の選び方は、以下のとおりです。

  • 歯科医師の経験と専門性を確認する
  • 設備の充実度を確認する
  • 丁寧に治療計画の説明をしてくれるか確認する
  • 定期的なフォローアップをおこなっている歯科医院を選択する
  • ほかの患者の口コミ・レビューを確認する

それぞれ解説します。

2-1.歯科医師の経験と専門性を確認する

インプラント治療のリスクを最小限に抑えるには、歯科医師の経験と専門性の確認が重要です。経験豊富な歯科医師は、予期せぬ事態にも適切に対応できる可能性が高くなります。

たとえば、専門医資格の有無や、これまでのインプラント治療の実績の確認も必要不可欠です。インプラント治療に特化した専門医や、豊富な症例数を持つ歯科医師を選ぶことで、治療における失敗するリスクを抑えられます。

2-2.設備の充実度を確認する

インプラント治療の成功率を高めるには、適切な治療がおこなえる充実した設備が不可欠です。とくに最新のCT設備は、顎の骨の状態や神経、血管の位置を正確に把握するのに役立ちます。

たとえば、インプラントと骨の結合具合を音波で計測する機器や、マイクロスコープなどの精密機器があるかどうかもリスクを抑えるには重要です。ほかにも、滅菌設備や専用の手術室の有無も確認しましょう。

2-3.丁寧に治療計画の説明をしてくれるか確認する

インプラント治療のリスクを理解し、患者が適切な判断をするには、歯科医院からの丁寧な説明が欠かせません。そのため、治療計画や予想される結果、起こりうるリスクなどを詳しく説明してくれる歯科医院を選びましょう。

また、患者の疑問や不安に丁寧に答えてくれる姿勢も重要です。治療の各段階で十分な情報提供をおこない、患者の理解と同意を得ながら進められる歯科医院を選ぶのがおすすめです。

2-4.定期的なアフターフォローをおこなっている歯科医院を選択する

インプラント治療後の定期的なアフターフォローは、長期的な治療の成功につながります。たとえば、手術後に定期的な検診を受けることで、インプラント周囲の骨や組織の状態を確認でき、問題があれば早期の対処が可能です。また、自宅での歯磨きやフロスによるケア方法に関する丁寧な説明があれば、セルフケアも問題なくおこなえます。

長期的なサポート体制が整っている歯科医院を選ぶことで、インプラントの寿命を延ばし、リスクを最小限に抑えられます。

関連記事:インプラント治療後の正しい歯磨き方法とは?歯磨き粉の選び方も紹介

2-5.ほかの患者の口コミ・レビューを確認する

ほかの患者の体験談や口コミによって、自身の納得のできる治療を安心して受けられそうか判断できます。たとえば、インプラント治療の成功例や治療中の対応、アフターケアの様子などを確認しましょう。

複数の情報源を組み合わせると、総合的に納得のできる判断をしやすいです。そのため、口コミサイトや知人の紹介なども参考にしながら、自分に合った歯科医院を選ぶのがおすすめです。

3.まとめ

インプラントのリスクは、大きく分けて4つあります。

  • 健康状態に関連するリスク
  • 治療する部位に関連するリスク
  • 人為的ミスによるリスク
  • 経済的なリスク

あらかじめ理解しておくことで、自身に最適な治療方法なのかどうかを判断できます。

ただし、リスクを抑えるには「自身の健康状態」や「治療を受ける歯科医院の設備」などの環境に左右されるため、専門医と十分に相談して検討するのがおすすめです。

やまもと歯科・矯正歯科では、専門知識の豊富な歯科医師が最新設備によって、患者様の状態に合わせた適切なインプラント・矯正治療が可能です。インプラントや矯正治療に関する無料相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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