
歯をすべて失った「無歯顎(むしがく)」は、見た目や食事への影響だけでなく、健康や生活の質にも関わる状態です。
歯が無くなると総入れ歯しかない…とイメージする方も多いですが、総入れ歯のほかにも、少ない本数で固定式の人工歯を支えるインプラント治療など、選べる治療法が増えています。
今回は、無歯顎の概要と主な治療法について、特徴や違いを整理して解説します。
■無歯顎(むしがく)とは?
無歯顎の読み方は「むしがく」で、上顎・下顎のいずれか、または両方に歯が1本も残っていない状態を指します。
高齢者に多い傾向がありますが、歯周病やむし歯の進行、事故、全身疾患の影響などで、中年以降でも起こることがあります。
無歯顎の主な原因
無歯顎に至る背景はさまざまですが、以下のような要因が重なって起こるケースが一般的です。
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歯周病で歯を支える骨が失われ、抜歯が避けられなくなった
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重度のむし歯が歯の根まで進行した
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歯根破折や事故による外傷で歯を失った
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全身疾患や服薬の影響で、抜歯が必要になった
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先天性無歯症など、生まれつき歯が少ない状態
歯がない状態は、見た目だけでなく、噛む力が弱まり食事のバランスが崩れる、発音しづらくなる、人前で話すことを避けるなど、日常生活に幅広く影響が出ることもあります。
また、歯を失った部分の顎の骨は徐々に痩せていくため、治療を先延ばしにすると義歯(入れ歯)が合いづらくなったり、インプラントの選択肢が限られたりする可能性もあります。
■無歯顎の治療法
歯が1本もない状態でも、噛む力や見た目の回復を目指せる治療法はいくつかあります。ここでは、代表的な3つの治療法について、それぞれの特徴や違いを整理して紹介します。
総入れ歯(保険・自費)
外科手術なしで装着できる、もっとも一般的な治療法です。歯ぐきに合わせた義歯を作り、粘膜の吸着力で装着します。
【主な特徴】
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保険の総入れ歯はレジン製で厚みがあり、違和感を覚えやすい傾向
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自費の入れ歯では金属床などを使い、薄く軽い仕上がりにできる
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噛む力は天然歯に比べて弱く、ずれやすいことがある
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手術不要なため、全身疾患がある方にも適応しやすい
噛みにくさや外れやすさがある一方で、身体への負担が少なく、費用面でも選びやすい選択肢です。
インプラントオーバーデンチャー
少数のインプラントで入れ歯を支える、中間的な治療法です。固定力と取り外しのしやすさを両立した構造になっています。
【主な特徴】
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片顎に2〜4本程度のインプラントを埋入し、入れ歯を支える
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義歯は取り外し式で、セルフケアがしやすい
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粘膜とインプラントの両方で支えるため、総入れ歯より安定感がある
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固定式インプラントよりも費用を抑えやすいとされる
「総入れ歯では不安定さが気になるが、手術や費用の負担は少なくしたい」という方に検討されることがあります。
オールオン4・6(All-on-4/All-on-6)
少ないインプラント本数で固定式の人工歯列を支える、先進的な治療法です。見た目や噛みやすさを重視したい方に選ばれています。
【主な特徴】
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片顎4〜6本のインプラントで、全体をブリッジとして支える
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骨の厚みが少ない箇所には、傾斜埋入で対応する設計も可能
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手術当日に仮歯を装着するケースもある(症例による)
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固定式のため、入れ歯のような外れや違和感が少ない
自由診療となるため費用は高額になりますが、審美性や機能性の回復を重視する方に適しています。事前にCT撮影やカウンセリングを行い、骨量や全身状態をふまえて適応を判断します。
■無歯顎の治療はまずは歯科医に相談を
無歯顎の状態でも、適切な治療を受けることで噛む力や見た目を回復させることは可能です。治療法によって、費用、外科的な負担、メンテナンスの手間などが異なるため、ご自身の希望や健康状態に合わせた選択が大切になります。
やまもと歯科・矯正歯科では、保険・自費の総入れ歯はもちろん、インプラントオーバーデンチャーやオールオン4・6といった幅広い治療法に対応しています。
インプラント本体や上部構造には保証制度を設けており、治療後のサポートにも力を入れています。無歯顎に関して不安や疑問がある方は、まずはお気軽にご相談ください。
