奥歯の歯ぎしり・食いしばりがある人はインプラントできる? 治療前に知るべき注意点
2025/08/18


「歯ぎしりの癖があるけれど、インプラント治療って受けられるのかな…?」

そんな不安をお持ちの方も少なくありません。

実は、歯ぎしりや食いしばりがあると、インプラントに大きな負担がかかり、破損や脱落のリスクが高まることがわかっています。

とはいえ、リスクを正しく理解し、対策することで、歯ぎしりがある方でもインプラント治療を行うことは可能です。

この記事では、歯ぎしりがインプラントに与える影響や、治療前後に気をつけたいポイント、長く快適に使い続けるための対処法を解説します。

■歯ぎしりがあるとインプラントにどんなリスクがあるの?

◎強い咬合力が直接インプラントに伝わる

インプラントは天然歯と異なり、「歯根膜(しこんまく)」と呼ばれるクッション構造がありません。そのため、噛んだときの衝撃が直接インプラント体(人工の歯根)に伝わりやすいという特徴があります。


歯ぎしりは無意識に起こるため、自分ではコントロールできず、日中の咀嚼よりも強い力がかかることもあると言われています。

このような強い力が繰り返しかかると、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

  • 被せ物(上部構造・人工歯)のヒビ割れや破損
  • インプラントと骨をつなぐネジの緩み
  • 骨との結合が不安定になり、インプラントが脱落してしまう

このように、歯ぎしりがあるとせっかく入れたインプラントを長く維持するのが難しくなることもあるのです。

◎奥歯は特に負担がかかりやすい

インプラントを入れる場所によっても、かかる力の大きさやリスクには違いがあります。
特に注意が必要なのが「奥歯(臼歯部)」です。

奥歯は食事の際にもっとも強く噛む部位であり、前歯よりも強い力がかかります。
そのため、歯ぎしりの影響を受けやすく、インプラントへのダメージも大きくなりやすいです。

◎歯ぎしりがあると、インプラントの失敗率が高まることも

歯ぎしりをする方は、そうでない方に比べてインプラントの脱落や破損リスクが明らかに高いという研究結果があります。

たとえば、ある調査では、歯ぎしりのある方はそうでない方に比べて、インプラントが脱落するリスクが高くなると報告されています。※

※出典:PubMed:Bruxism and risk of dental implant failure: A systematic review and meta-analysis

■インプラント治療を受ける際の注意点

◎精密検査でリスクを見極める

インプラント治療において、事前の診査・診断はとても重要です。
特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある場合、事前にそのリスクを見つけておくことで、トラブルを回避しやすくなります。

主に行われる検査は以下のようなものです。

  • CT撮影による顎の骨の厚み・形・神経の位置の確認
  • 咬合(噛み合わせ)検査による力のかかり方の分析
  • 生活習慣のヒアリング(夜間の歯ぎしりやストレス傾向など)

たとえば、顎の骨量が不足している場合、インプラントが入れにくくなるため、骨造成(骨を増やす処置)を併用するなどの治療が必要になります。

◎治療計画では「かかる力を分散させる工夫」が必要

歯ぎしりの影響を抑えるためには、インプラント1本あたりにかかる負担を減らす設計が有効です。そのためには、いくつかの工夫が考えられます。

  • インプラントの本数を増やす
  • 歯となる人工歯に高強度な素材(ジルコニアなど)を選ぶ
  • 複数本を連結して負担を分散するブリッジ設計にする

力のかかり方は患者さんそれぞれ異なるため、全体のバランスを考えた治療計画が大切です。

◎治療後のメンテナンスでトラブルを予防

歯ぎしりがある方の場合は、治療後もインプラントを良い状態で保つために、継続的なチェックとメンテナンスが大切です。

メンテナンス時には以下のような処置やチェックが行われます。

  • インプラントの動揺(ぐらつき)の確認
  • 被せ物やネジの緩みの有無
  • 歯周ポケットの測定や清掃
  • ナイトガードの状態チェックと調整

早めの対応によって、大きなトラブルを未然に防げます。違和感があれば放置せず、早めの受診がおすすめです。

■歯ぎしりの対処法

◎ナイトガードで就寝中の負担をやわらげる

寝ている間の歯ぎしりには、マウスピース(ナイトガード)の装着が効果的です。
やわらかい素材がクッションとなり、インプラントや被せ物へのダメージを軽減してくれます。簡単に装着でできる予防策として、導入を検討する価値は十分にあります。

◎ボトックス注射でかむ力を弱める

歯ぎしりが強い方には、顎の筋肉(咬筋)へのボツリヌス注射がひとつの選択肢です。

筋肉の緊張を抑えることで、噛む力が弱まり、インプラントへの負担を軽減する効果が期待されます。

ただし、インプラント治療における効果は個人差があるため、歯科医師とよく相談して検討することが大切です。

◎生活習慣の改善を心がける

歯ぎしりは、ストレスや睡眠の質とも関係しています。

就寝前のスマホやカフェイン、寝不足などが影響することもあるため、生活リズムを整えることが大切です。

ナイトガードや噛み合わせの調整とあわせて、生活リズムも意識していきましょう。

■歯ぎしりがあっても、工夫すればインプラント治療は可能です

歯ぎしりがあると、インプラントに負担がかかりやすく、破損や脱落のリスクが高まることがあります。しかし、治療前の計画でしっかり対策し、治療後もケアを続けていけば、長く使い続けることは十分に期待できます。

やまもと歯科・矯正歯科では、CTによる精密な診断や、噛み合わせを考慮した治療設計など、歯ぎしりがある方にも安心して治療を受けていただける体制を整えています。 「歯ぎしりがあるからインプラントは無理かも…」と悩んでいる方も、まずは一度、お気軽にご相談ください。

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