
インプラント治療では、手術から人工歯が入るまでに数ヵ月ほどの期間がかかります。この間に装着するのが「仮歯」です。
見た目の自然さや食事のしやすさに関わるため、いつから入るのか、入れないケースはあるのかと気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、仮歯の役割や装着中の過ごし方について紹介します。
■インプラント治療中の仮歯の役割と見た目
仮歯とは、インプラント手術から最終的な人工歯を装着するまでの期間に、一時的に入れる歯のことです。
主材料である歯科用プラスチックのレジンは、周囲の歯になじむ色や形に整えやすいため、口元の自然な印象を保つことにつながります。
仮歯が担う役割は主に3つです。
自然な見た目を保つ
前歯を失ったまま過ごすと、口元の印象が大きく変わります。仮歯を入れることで、治療期間中も人前で話す不安が和らぎ、普段通りの日常生活を続けやすくなるでしょう。
発音や滑舌を支える
歯が抜けた部分から空気が漏れると、サ行やタ行の発音が不明瞭になることがあります。仮歯は空気の漏れを防ぎ、会話のしやすさを保つ助けになります。
噛み合わせや形態を調整する
歯が抜けたままの状態が続くと、隣接する歯が動いて噛み合わせが変わってしまうことがあります。そのため、まずは仮歯を装着して噛み合わせや歯の形を細かく調整し、最終的な人工歯の作製に活かしていきます。
見た目や発音のしやすさもあわせて確認できるため、より自然な仕上がりへと移行するための大切な工程です。
■仮歯はいつから入れる?装着期間の目安
仮歯を入れるタイミングは、お口の状態や治療方針によって異なります。一般的には、以下のような時期に装着していきます。
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手術当日(即時荷重):顎の骨の状態が良好で、インプラント体がしっかり固定できた場合
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抜糸後や二次手術後:お口の回復状況に合わせて判断する場合
装着期間の目安は、およそ3〜6ヵ月です。下顎では2〜3ヵ月程度、上顎では4〜6ヵ月程度が目安となっており、この期間にインプラント体と顎の骨が結合するのを待ちます。
※公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」Q.19
また、前歯の場合は見た目や発音への影響を踏まえて、早期の仮歯装着を検討することがあります。
■仮歯を入れない場合もあるの?
仮歯は治療過程で役立つ役割を持っていますが、必ずしもすべての症例で使用するわけではありません。
お口の状態を総合的に診たうえで、装着すべきかを判断していきます。仮歯の装着を見送ることがある主なケースは以下のとおりです。
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奥歯など、見た目の回復を急がなくてもよい部位
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噛む力が強く、インプラントと骨の結合に悪影響を及ぼす懸念がある状態
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骨を増やす処置を併用しており、患部の安静を優先したい場合
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初期段階の固定が弱く、力をかけずに治癒させたいとき など
インプラントと顎の骨がしっかりと結合するまでは、患部への過度な負荷を避ける必要があります。無理に仮歯を入れると治癒を妨げてしまうおそれがあるため、慎重な見極めが大切です。
適した治療方針は一人ひとり異なります。装着の有無については担当の歯科医師とよく相談し、ご自身の希望や不安な点も伝えておくことで、安心して治療を進められます。
■仮歯をつけている期間の過ごし方
仮歯は最終的な人工歯と違い、強度が控えめな素材で作られています。そのため、装着中の日常生活では少し注意したいポイントがあります。
食事で気をつけたいこと
仮歯は強い力や粘着性のある食品で破損・脱落してしまうことがあります。次のような食品はできるだけ控えるか、反対側の歯で噛むように意識しましょう。
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硬いもの(せんべい、ナッツ、氷など)
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粘着性のあるもの(キャラメル、ガム、お餅など)
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色の濃いもの(カレー、コーヒー、赤ワインなど)
色の濃い食品は仮歯の表面に着色しやすいため、気になる場合は注意しましょう。
違和感や不具合があったとき
装着直後は、噛み合わせや形状のわずかな違和感を覚えることがあります。多くは微調整で対応できますが、次のような症状があるときは早めに歯科医院へご連絡ください。
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仮歯がぐらつく、外れた
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割れた、欠けた
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強い痛みや腫れがある
自己判断で戻そうとすると、傷口を刺激したり、かえって状態が悪化したりする場合もあります。気になることがあればまずはご相談ください。
■仮歯の役割を知り、納得のいく治療につなげましょう
インプラント治療における仮歯は、見た目や発音のサポート、噛み合わせの調整といった役割を担います。一方で、骨の状態や噛む力によっては、あえて仮歯を入れない選択もあります。
装着のタイミングや期間、過ごし方のポイントをあらかじめ知っておくと、治療の流れをイメージしやすくなるでしょう。仮歯や治療の流れについて気になる点があれば、やまもと歯科・矯正歯科までお気軽にご相談ください。
